14.学習英和辞典を活用した「副詞遊び」


授業中の数分の時間を利用して、辞書に馴染ませる方法の1つに「副詞遊び」(adverb game)がある。私の馴染みのものは次の3種類である。1つ目はジェスチャー(身体言語)だけを用いて、見ている者に当該副詞を当てさせるもの、2つ目は文中に省略されている副詞(括弧を作っておく)を当てさせるもの、3つ目は音声言語とジェスチャー(身体言語)を併用して当該副詞を当てさせるものである。いずれの場合も、用例は生徒・学生が所持している学習英和辞典からの引例でよい。以下に、それらの具体例を紹介してみる。

A.ジェスチャーによって、見ている者に当該副詞を当てさせる。
 やり方 一人の生徒・学生を指名して、副詞を用いた文を作らせ、その文の内容をジェスチャーで示させて、見ている生徒・学生に当てさせる。

例1)happily を用いた例: The children played happily for hours. (子供達が楽しそうに何時間も遊んだことをジェスチャーによって示し、見ている者に副詞の“happily”を当てさせる。)
例2)quickly を用いた例: I finished my dinner quickly because I wanted to watch a TV program.(急いで食事をしている動作、テレビを見たいという動作によって、見ている者に副詞の“quickly”を当てさせる。)
例3)quietly を用いた例: I shut the door quietly. (静かにドアを閉めるジェスチャーをして、見ている者に副詞の“quietly”を当てさせる。)

B.文中に省略されている副詞(括弧を作っておく)を当てさせる
 やり方 一人の生徒・学生を指名して、当該副詞の入る箇所だけを空白にして1文を作らせ、見ている生徒・学生にその副詞を当てさせる。

例1) He told them (firmly) to keep quiet. (括弧内の副詞を省いておき、ヒントとして“in a strong way”のような説明語句を出しながら、当該副詞を当てさせる。)
例2) She (cheerfully) agreed to make dinner. (括弧内の副詞を省いておき、ヒントとして“in a happy way”のような説明語句を出しながら、当該副詞を当てさせる。)
例3) He walked (silently) into the room. (括弧内の副詞を省いておき、ヒントとして“without any noise”のような説明語句を出しながら当該副詞を当てさせる。)

C.音声言語とジェスチャー(身体言語)を併用して当該副詞を当てさせる。
 やり方 
一人の生徒・学生を指名して、副詞を用いた文を作らせ、当該副詞の部分だけを無声にさせて、あとはジェスチャーを併用して、見ている生徒・学生に当てさせる。
 
例1) The teacher went out of the classroom (angrily [in anger]). (先生が怒って教室を出て行くところをジェスチャーで示させ、当該副詞を当てさせる。)
例2) The children are singing “Happy Birthday to You” (merrily).(子供達が楽しそうに「ハッピー・バースデー・トゥー・ユー」を歌っているところをジェスチャーで示させ、当該副詞を当てさせる。)
例3) She is (outstandingly) quick at mental arithmatic.(彼女が暗算が速いことをジェスチャーで示させ、当該副詞を当てさせる。)

 ここでは副詞遊びを紹介したが、これを参考に、「形容詞遊び」(adjective game)、「類義語遊び」(synonym game)、「反意語遊び」(antonym game)など、さまざまな言葉遊びを考案してみるとよかろう。生徒・学生に少しでも英語に興味を持ってもらうには、教師はいろいろと工夫する必要がある。生徒・学生に辞書から適当・適切な用例を引例させることは、彼らへの良き辞書指導にもなるであろう。